「新型うつ病」とは?従来のうつ病との違い・特徴と適切な対処法を解説
「新型うつ病」とは?正式名称ではないが特徴を持つ症状の総称
新型うつ病は、従来のうつ病(定型うつ病)とは異なる特徴を持つ症状の総称として、主にメディアによって広まった言葉であり、正式な医学用語ではありません。
そのため、専門家の間でもその定義や概念について一致した見解があるわけではありません。
しかし、従来のうつ病の典型的な症状とは異なる形で現れる、現代社会で増加傾向にある抑うつ状態を表す用語として使われています。
従来のうつ病との決定的な違い
従来のうつ病が、何に対しても興味を失い、楽しさを感じられず、常に気分が落ち込んでいる状態であるのに対し、「新型うつ病」と呼ばれる状態には、いくつかの顕著な特徴があります。
| 特徴 | 新型うつ病(非定型うつ病に近い概念) | 従来のうつ病(定型うつ病) |
| 抑うつの状況 | 仕事や学業など困難な状況でのみ抑うつ的になることが多い。 | 状況に関係なく常に抑うつ的であり、意欲が低下する。 |
| 喜びの感情 | 余暇や好きなことをしている時間は、楽しく過ごすことができる。 | 何をしても楽しさを感じられない(喜びの感情の消失)。 |
| 発症のきっかけ | 人間関係や課題などの困難やストレスをきっかけに発症しやすい。 | 身体的な疲労や生活環境の変化など、明確なきっかけがない場合もある。 |
| 年齢層 | 若年者に多く見られる。 | 幅広い年齢層に見られる。 |
新型うつ病に多く見られるその他の特徴
「新型うつ病」とされる症状を持つ人は、以下のような傾向も指摘されています。
- 自己中心的・他責的傾向
自分の不調の原因を、環境や他人にあると考え、他人を責める傾向がある。 - 成熟度の低さ
規範や秩序、他者への配慮に乏しい態度が見られることがある。 - 症状の軽さ
全体として症状が軽症であることが多く、軽度の抑うつ状態と判断が難しい場合がある。 - 仕事を避ける傾向
困難な業務を避けるために休職を選ぶ傾向がある。
新型うつ病が疑われる場合の適切な対処法
「新型うつ病」と呼ばれる症状は、従来のうつ病とは異なるアプローチが求められる場合があります。
1. 専門家による適切な診断と治療
まず、症状が疑われる場合は、精神科や心療内科を受診し、適切な診断を受けることが不可欠です。
- 投薬治療
従来のうつ病と同様に、症状に応じて抗うつ薬などが用いられます。 - 集団認知行動療法・リワークプログラム
症状が改善し始めた段階で、職場復帰(リワーク)に向けたプログラムや、行動・考え方のパターンを見直す集団認知行動療法が効果的だとされています。
2. 周囲による適切な接し方とサポート
周囲の人々の対応は、患者さんの回復に非常に重要な役割を果たします。
特に「新型うつ病」の傾向がある方には、以下の点に配慮した接し方が推奨されます。
- 傾聴と共感
話を遮らずに丁寧に聞き、感情に共感する態度を示す。
「責められている」と感じさせない環境を作ることが大切です。 - 攻撃性の受け止め
自己中心的、他責的になりがちな攻撃的な言動を、病気の症状の一つとして冷静に受け止める姿勢が求められます。 - 存在意義の探求
本人にとって「居場所」や「存在意義」を見つけられるよう、生活習慣の見直しも含めてサポートする。 - 慎重な励まし
過度な励ましはプレッシャーになりますが、少しの励ましや期待が、意欲を取り戻すきっかけになる場合もあります。
新型うつ病は、現代社会のストレスや価値観の変化に伴い現れた症状の形であり、その理解と社会全体のサポートが、症状に苦しむ人々の回復に不可欠です。
リンク







